インターナショナルワークショップフェスティバルの講座を受けに、千林の芸術総合館まで行った。「大阪大阪」言うてるくせに降りたことの無かった千林、19時講座開始の時間ギリギリやったから、「帰りに寄ろう」と行きしなはキョロキョロと気になる店をチェックしただけで早足で歩いた。
で、20時半の帰り道。まっすぐ家に帰ってご飯食べてもええけど、「初めて千林を歩くのは今日しかない。店に入らな。」と寄り道を肯定してわくわくしながら駅までの道を戻った。
【知らん町に降り立って、独りでどの店に入るか考える、迷う、意を決して扉を開ける】
この一連の精神状態ってたまらん。静かなアドレナリンが出てるんとちゃうかな。
行きしなに見つけたほとんどはええ感じの大衆酒場で、何軒かあるうちのどれかに入ろうとしたけど、20時半っていう時間は店が一番盛り上がっていて、カウンターで囲む店とはいえ「独り」が一番肩身が狭い時間帯やった。
独りの時はお店の開店後か閉店前かが吉で、店に油が乗ってる時間帯はかなりハードルが高いことに気づいた。
そうこう選り好みしてるうちに森小路駅の前まで来てしまっていたから、駅前でピンときてた蕎麦屋に入った。ある意味、そこに入るしかなかった。そばが並ぶガラスケースの脇に板わさや冷奴も並んでた。よし大丈夫。
お店の中には、テーブルだけじゃなくてカウンターもあったけど、厨房側に取り込まれてるような感じでどうも座るべきじゃない。お客さん2人がテーブルでざるそばを食べてた、そろそろ終わりそうな店内やった。
テーブルに座って、お水持ってきてもらいながら、冷酒とニシン甘煮を頼んだ。「そばといえば日本酒でしょ!」って。ところが、ノドを舐めて食道に降りていく冷酒のトロッと感をイメージしてたら、「…何か違う…まだ早い…。」っていう違和感が湧いて、「やっぱりビール!!」と思い立って、おかあさんに冷酒を瓶ビールに変えてほしいって言うた。
ら。
お母さんが片眉を上げながら少し前傾で「アサヒ?キリン?」って。
こっちもちょっとニヤけながら「キリン。」って。
一気に緊張が取れてこのテーブル席が居場所に変わった。
瓶ビールのアテに小皿の枝豆出してくれたり、あったかいざるそばが置いてたり、ニシン甘煮がレトルトっぽくて安旨やったり、何から何まで最高のお店になった。ゴキゲンさんでビールのんでニシン食べて冷酒飲んで蕎麦食べる独り客。2合瓶しか冷えてる冷酒がなくて、ちょっと多い気がしたからお店のお父さんに勧めたけど固辞されて、ほろ酔いの中出過ぎた真似したことを少し反省。まぁ酔ってるから少しだけ。客観的に自分が見れていない状態の気持ちよさってやつ。
ビール飲んでる頃は気が大きくなって、「この後に通り過ぎた大衆酒場に戻ってやろう!」
ってウキウキしてたけど、冷酒飲んでそば食べきる頃には腹パンパンで寄り道できるような余裕が無かった。
そんな千林の初夜、2000円也。
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